THE SEVEN YEAR ITCH

七年目の浮気

書　籍　紹　介
映　画　紹　介
書　名 スクリーンプレイ
「七年目の浮気」		 製　作 1955年
編　集 山田　均 会　社 Twentieth Century Fox
仕　様 A5版、96ページ 監　督 Billy Wilder
発行日 1994年4月 脚　本 Billy Wilder,George Axelrod
出版社 株式会社スクリーンプレイ 出　演
 Marilyn Monroe
定　価 本体1,200円（税別） Tom Ewell
ISBN 4-89407-003-0 Evelyn Keyes

この映画のストーリー
　「もう何年も多くの女性たちが私に身を投げ出してきた。でも、心配はいらない。私にはすごい魅力と同等のすごい自制心があるから」
　と、想像力が人並外れて旺盛なリチャードは想像の中で妻のヘレンに語りかける。 　夏のニューヨークは、妻と子供を避暑に送りだした既婚男性の天国に早変わりする。出版社に勤めるリチャードの周辺も例外ではない。友人のリダラーは入れ墨をし、社長のブレディはポーカーと酒に溺れ、管理人のカフーリックは女性にうつつをぬかす。もう羽根の伸ばし放題である。
　リチャードも妻のヘレンと子供のリッキーを避暑に送りだしたが、彼は世間の風潮に抵抗し、自制心を保って仕事に打ち込む。
　ところが、彼の自制心はアパートの２階に金髪美人が越して来たことで脆くも崩れさった。眠っていた欲望にメラメラと火がついたのである。
　リチャードは金髪美人に接近する。しかし接近すると持ち前の想像力がネガティブに働いてブレーキをかける。そのブレーキを本能が解除する。そしてまた想像力がブレーキをかける。リチャードは欲望と自制心の間を行ったり来たりして、やがてノイローゼになってしまう。
　その頃、出版予定の書物の中に、既婚男性の結婚７年目の浮気願望を研究した「７年目のムズムズ」と題するものがあった。リチャードもまた結婚７年目であり、金髪女性に抱く感情は原稿に書かれている浮気願望とそっくりだった。彼は原稿を読んで愕然とする。このままでは破滅だ！
　さて、リチャードと金髪美人の行く末は…、妻ヘレンとの顛末は…。

　本映画は、有名な映画や書物のパロディを織り混ぜながら、中年に差し掛かった既婚男性の欲望をコミカルに描いていく。マリリン・モンローのコケティッシュな魅力と有名な地下鉄のシーンもさることながら、まるで２重人格のようなリチャードを見事に演じるトム・イーウエルが光っている。
　最初から最後まで楽しませてくれ、何度見てもその楽しさは色褪せない。ジョージ・アクセルロッドの同名の舞台劇の映画版。ディテイルは舞台とは違うようだが、脚本もアクセルロッドが担当していることを考えればその差は気にならない。


この映画の英語について
　1955年の作品ということもあり、現代映画に比べると英語はかなり正統的な趣がある。気になるようなスラングはまったく登場しない。
　しかし、その代りに当時の時代を背景にしたものがパロディとして数多く登場する。「From Here To Eternity」「Riot In Cell Block 11」「The Creature from the Black Lagoon」などの映画、「From Here To Eternity」は邦題「ここより永遠に」として有名であるが、他は馴染みが薄い。「Howdy Doody」「Captain Video」などのテレビ番組、あるいは俳優や女優などの名前に至っては日本人にはピンとこないだろう。
　また、小説もパロディにされている。「Little Women」（若草物語）、「The Portrait of Dorian Gray」（ドリアン・グレイの肖像）などである。
　英語学習的観点から見れば、これらはさほど意味を持たない。しかし貴重なイディオムや表現は豊富である。rotten to the core（芯まで腐る）、singe one's wing（名声を傷つける）、What's the big idea?（どういうつもりだ）、Come in like gang busters（いきなり押し込んでくる）、shoot the works（派手にやろう）、make a federal case out of it（大げさにする）、press one's luck（つきに乗じる）、no man is an island（人は独りでは生きられない）…等など。
　また、やり取りされる会話には含蓄のあるもの、コミカルなものが多い。特に、リチャードとマリリン・モンローの会話は傑作である。
　自分はいつまでも若いと思っているリチャードが、"I probably won't look any different when I'm sixty. Everybody will think she's my mother."（私は60歳になっても今のままだろう。きっとみんな妻を私の母と間違うようになるだろうな）。マリリン・モンローが水道が漏れるから親指を蛇口に入れたと聞いて、 "That's what they call American know-how."（いわゆるアメリカの知恵だね）。子供がいるかと尋ねられて、"Just one. Very little. Hardly counts."（一人いる。すごく小さいのが。小さ過ぎているうちに入らない）等など、とてもここに書き切れない。ちぐはぐな言葉と行動、言葉と行動が一種の play on words（言葉遊び）になっていたりと飽きることがない。彼らの軽妙酒脱な会話をたっぷりと楽しんで頂きたい。

[ Listening Ability Evaluation ]
スクリーンプレイ編集部の「リスニング難易度」評価一覧表）

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4
・発音の明瞭さ
1 2 3 4
・アメリカ訛
1 2 3 4
・外国訛
1 2 3 4
・語彙
1 2 3 4
・専門用語
1 2 3 4
・ジョーク
1 2 3 4
・スラング
1 2 3 4
・文法
1 2 3 4
合　計

14点

( 14以下 = Beginner, 15-18 = Intermediate, 19-22 = Advanced, 23以上 = Professional )