トップガン
TOP GUN



監修 本田育子
編集 山田均
A5版 104頁 ISBN-4-89407-037-5
本体価格=1,200円(税別)
1990年(平成2年)12月20日 初版発行


アメリカ海軍のエリート訓練校「トップ・ガン」に仲間入りしたマーベリックのパイロット魂と友情、恋を描いた青春映画。F-14トムキャットとMIGのドッグファイトシーンは圧巻。英語はやさしい。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「TOP GUN
       トップガン」
製 作 1986年
監 修 本田 育子 会 社 PARAMOUNT PICTURES
仕 様 A5版、104ページ 監 督 TONY SCOTT
発行日 1990年12月20日 脚 本 JIM CASH, JACK EPPS.JR
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
TOM CRUISE
定 価 本体1,200円(税別) KELLY MCGILLIS
ISBN 4-89407-037-5 VAL KILMER

 

■この映画のストーリー

 米海軍パイロットのトップ1%を養成する訓練学校、トップガンに配属かなったマベリックの将来は前途洋々であった。だが彼の自分の操縦技術への自信から、時としてその無謀さが危険な状況を招くことに、教官や仲間は日頃から不安を抱いている。そんな訓練生マベリックと美人教官チャーリーの間に恋が生まれた しかしある日、訓練中にマベリックと親友グースの乗る戦闘機が墜落事故を起こし、脱出に失敗したグースは事故死した。強く自責の念を感じた彼はトップガンを去ろうとするが、バイパー教官の勇気づけで、晴れの卒業式に出席する。その日、突然、領海侵犯した敵機ミグを撃退すべく緊急指令が降りる・・・   1986年全米で大ヒットしたこの映画は、'82年の「愛と青春の旅立ち」の空軍版とも言え、日本でも若者を中心に超大ヒットとなった。公開の翌年のことだが、私の受け持ちの高校2年生の生徒達に、授業で取り上げて欲しい映画のアンケートを取ったところ、第1位がこの「トップ・ガン」だった。 

 この映画の魅力を探ってみよう。母艦から飛び立つ戦闘機、揺れ動くコックピット内、ハラハラドキドキで、思わず力が入ってしまう空中アクション、まるで自分が戦闘機にのっているかのような臨場感は、観客を容易に異体験の世界に導く。そして、まだ少年の面影を残すトム・クルーズが、そのイメージにぴったりのやんちゃで向こう見ずなパイロットを演じている。正に彼はマベリックに適役である。 "Cruise keeps the movie at full throttle." とは、ピープル誌のピーター・トラバース氏の評だが、クルーズの持つ「元気」がスピード感を持ち味とするこの映画にぴったりマッチしている。この映画で彼はハリウッドの若手スターの第一人者となった。娯楽作品なので、ストーリーは安易に流れている感じは否めないし、アメリカ海軍の宣伝のような戦闘の美化にも抵抗がある。が、しかし、テンポの速い展開と効果的なBGMに乗せられ、最後には主人公がキャリアも恋も勝ち取るハッピーエンドは、理屈抜きに、見る者に元気を与えてくれる。 

 映画には国民性がよく表れるが、この映画もアメリカンスピリッツの代表的なものと言えるだろう。つまり、一つには戦争でも、ビジネスでも、恋愛でも、何でも勝利したいというアメリカ人気質だ。映画の中で、"Best of the best"(最高の中の最高)という言葉が何回も出てくるが、最後に主人公がそれを手に入れるアメリカ人好みのサクセスストーリーが展開される。もう一つは、困難にぶつかった時の彼らの行動である。この映画では、相棒のグースの死の場面だが、困難に負けてしまうのではなくて、それが大きければ大きいほど、その困難をバネにして大きく成長しようという彼らの方向性がここでもうかがえる。映画は正しくその国民性を学ぶのに格好の教材である。


■この映画の英語について

 この映画の持ち味は、テンポの速い展開とゲーム感覚で楽しめる痛快さだが、スピード感のある画像と共に登場人物のセリフや音楽が担っている役割は大きい。マベリックとシャーロットの出会いとラストシーンとなる再会の場面で流れるライチャス・ブラザーズの "YOU'VE LOST THAT LOVING FEELING" は、その場のセリフと共にリズムと軽い乗りで、観客を楽しませてくれる。主人公達の言葉遊びを見てみよう。出会いの場面で、マベリックが上記の歌でシャーロットにアプローチするのだが、いつからそんなせまり方をしているのかと聞かれて、彼は実は二度目なんだと言ってから、 マベリック : "Crashed and burned on the first one." (「最初は墜落して黒こげ」) シャーロット : "And the second?" (「二度目は?」) マベリック : "I don't know, but it's looking good so far." (「さあ、今のところはうまくいっている」) これを思い出す様に、ラストシーンではミュージックボックスにコインが入れられ、この歌が流れる中、再会した二人がこのセリフを繰り返してハッピーエンドとなる。また、最初のデートにマベリックが遅刻して謝ろうとすると、シャーロットが "No appologies."(「謝らなくてもいいわ」)と言えば、マベリックがすぐ後で同じセリフを彼女に返したりする。さらに、グースの妻キャロルが夫に向かって "Hey, Goose, you big stud! Take me to bed or lose me forever."(よう色男!ベッドに連れてって、でないと私を失うわよ」)と言ったのをおもしろがっているかのように、その後、シャーロットがマベリックに対して使ったりしている。この様な言葉遊びと共に、全編を通じて多用されている "God damn it" "Shit" などの swearword(ののしり言葉)や通信に使われる短い用語がこの映画の英語の特徴で、映画にゲーム感覚やスピード感を与える助けとなっている。
 また、男性中心の海軍が舞台なので、男同士で交わす卑語も多用されている。解説の部分を参照してほしい。決してきれいな言葉ではないので特に女性はまねしない方が良い。
 ついでに言うなら、服部君の事件以来、広くしられるようになった"Freese"が、ここでは映写機を止める場面で、"Freese here.""Freese There."(「そこで止めて」)で出てきているということも学習者はチェックしておくべきだろう。


■目次

1. Enemy MIGs 敵機・ミグ ……………… 7
2. Emergency Landing 緊急着陸 ……………… 15
3. Top Gun トップ・ガン ……………… 22
4. Charlie チャーリー ……………… 34
5. The Chase 訓練 ……………… 39
6. Late for Dinner 遅刻 ……………… 51
7. Dogfighting 空中戦 ……………… 61
8. A Tragedy 悲劇 ……………… 71
9. The Real Thing 実践 ……………… 83
10. Best of the Best 最高の男 ……………… 100

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計 29点

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )